京都大学大学院農学研究科 21世紀COEプログラム 昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生pic
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ニュースレター

ニュースレター
NO.4 (Nov. 15, 2005)
秋の京都で語り合おうin上賀茂試験地
〔大学院生による昆虫科学とフィールド研究シンポジウム〕

日高敏隆先生による基調講演
日高敏隆先生による基調講演
COEプログラムとフィールド科学教育研究センター共催で9月12日から14日にシンポジウムは開催された。大学院生によるシンポジウムとは銘打ったものの院生諸君がどれほど積極的に参加してくれるかは不安のままであった。初日の午後0時30に拠点リーダーである藤崎先生の挨拶でスタートした。基調講演は、来年4月に上賀茂試験地の隣に引っ越して来る総合地球環境学研究所の所長・日高先生に御快諾頂き、「現代ナチュラルヒストリーとは何か」と題して、昆虫少年だった頃の話や実験に苦労されたお話をお聞かせ頂いた。先生は若い人たちの講演が聞けると楽しみにされていたが、研究所の急用で講演後すぐにお帰りになった。大変残念そうにされていたのが印象的であった。次に話題提供1として、院生諸君の先輩であり、目標である方々(博士論文を書いて間もない方やもうすぐ書こうとしている方)に昆虫科学の研究やフィールドを使った研究を紹介して頂いた。今回は、翌日の現地解説と併せて上賀茂試験地で研究された方々にお願いした。講演者の皆さんが臨場感あふれる講演を行ってくれたおかげで、質問やより詳しい説明を求める声が聞かれ、大変有意義であった。夕方からは懇親会が行われた。上賀茂試験地の中根技術班長をはじめとする技術職員の面々が腕によりをかけた料理(栃餅、焼き鯖、そうめん等)を準備してくれ、野外でのバーベキューを行った。フィールドにはこのような番外の楽しさもあり、学生諸君の胃袋は十分満足したと確信している。

講演者による現地解説
講演者による現地解説
2日目は8時半から現地見学会をセットしたが、昨晩の懇親会が裏目に出たのか参加者は期待に反して少なかった。しかし、話題提供2の教育者かつ研究者として大学院生の皆さんの指導にあたる教員の立場でフィールド研究を進められている先生方の講演が始まる頃には、参加者もかなり集まった。三人の先生による、日本国内から海外までの、昆虫から植物までの様々なお話に多くの質問が出されていた。特に共同研究の進め方にまで議論が及んだのは大変興味深く、院生の皆さんにとって参考になったことも多いと思われる。

午後からは、主体である大学院生自身が発表用ポスターを作成し、自分の研究を先生や同僚にプレゼンテーション方法を工夫してアピールした。ポスターコンクールはいかに解りやすく説明をしているか、ポスターとしての完成度はどうかの二点で評価は行われた。より理解を深めるために発表者が口頭で簡単なプレゼンテーション(5分程度)を行い、参加者は全てのポスターの説明を聞けるような工夫がなされた。さらにその後ディスカッションタイムが設けられた。参加されていた先生方からも鋭い質問が飛び、それぞれのポスターの前では熱い議論が交わされていた。最後に、参加者全員が2票ずつ(自薦可、同一名不可、1名のみ不可)を投票する方法で優秀ポスターが選ばれた。成績優秀者にはリーダーの藤崎先生から賞状と賞品が送られ、ポスター発表は終了となったが、多くの学生が会場に残り、それぞれに議論や質問を行っていたのが印象的であった。

ポスター発表コンクール授賞式
ポスター発表コンクール授賞式
3日目は、上賀茂試験地の見学会が行われた。参加者は9時に事務室前に集合し、今年上賀茂試験地内に復活された炭焼き窯を技術班長・中根さんに説明を受けながら見学した。炭焼きで灌木が利用されることにより、林がきれいになる。標本館では、樺太演習林等で採取された古い昆虫標本などに人気が集まった。その後、自然観察コースで講演に関係する樹木などを中心に見分け方や生活史の解説を受けながら散策し、展望台で記念撮影を行った。天気もまずまずで、ハンミョウやバッタが見つかると歓声が上がっていた。見学会は正午に終了した。

シンポジウムの参加者数は下表のとおりで、ポスター発表時の参加者も41名あった。COE教育プログラムの催しとしても、教育研究施設である上賀茂試験地が進んでいく方向を探るプログラムとしても、多くの示唆や効果を与えてくれたものと確信している。

  9/12 9/13 9/14
教員 13 9 0
院生 43 40 7
学生 4 3 1
その他 6 1 1
合計 66 53 9

御協力頂いた先生方、当日までの様々な手続きにお骨折り頂いた事務や技術の職員の方々、そして、中心になって運営に関わり、活発な議論の輪を作り出してくれた院生諸君に感謝の意を表したい。
(フィールド科学教育研究センター上賀茂試験地長 中島 皇)

シンポジウム参加者より

話題提供1の講演風景
話題提供1の講演風景
上賀茂試験地を利用した研究に関する講演では、土壌生態系から植物の生長、繁殖、そして昆虫の行動まで本当に幅広い話題提供があった。学会で行われるような研究発表の場では、似たような研究テーマを持つ人が集まるのが普通であろう。そのため、今回のように、調査地を共有した様々な分野の研究者が集まるシンポジウムは新鮮であった。講演者の一人として、同じ調査地を持つ人と顔見知りになり、研究の話を交わし、多少なりとも視野を広げることができた。このような試みは、異分野間の交流を深める一つの有効な手段であろう。またの機会があることを期待したい。

学生によるポスター発表でも、シカ、クモ、キノコ、低木、高木などなど、様々な材料を扱った研究が集まった。ここでは、参加者全員を前に、発表者一人一人が内容を紹介する時間がとられていた。そのため、普段は通り過ぎるであろう他分野のポスターについても内容を知る機会が持てた。

今回のシンポジウムは、上賀茂試験地という自然に囲まれた環境で行われたためか、終始リラックスした雰囲気で行われたように思う。上賀茂試験地という場は、市街地近郊に位置する貴重な調査地であるばかりでなく、有効な研究交流のフィールドでもあることを改めて実感したシンポジウムであった。
(講演:森林総合研究所PD 河村耕史)

「他分野の方々との交流。」常にその必要性と願望を感じるものの、なかなか実現しないことと考えていました。しかしながらCOEプログラムによる数々のセミナーやシンポジウムにより同じ昆虫や植物を研究対象にしていても、自分とは全く異なる視点からそれらを捉えている方々のお話を聞くことができたり、意見交換ができたりというように普段研究室やその周辺に行動範囲が限定している私にとって貴重な機会が与えられています。

今回の上賀茂での昆虫科学と環境(フィールド)研究シンポジウムでは実際に上賀茂試験地での研究について知ることができ、また中・高校生時代に憧れた日高敏隆先生のご講演を目の前で経験できるなど嬉しいものとなりました。

ポスターを前にしての口頭プレゼンテーション
ポスターを前にしての口頭プレゼンテーション
3日間のうち2日目に行われたポスターセッションでは、自分が現在行っている研究について発表させてもらえることとなり、準備段階を含め当日の口頭での解説など、非常に良い経験を得ることができました。なかでも普段自分の中に閉鎖しがちな内容について、他の分野の方から思いもよらない意見や、同じ結果から考えられる面白い考察を聞くことができました。また、例えば「サンショウはこういった場所に多く分布しているよ」とか「この植物に幼虫がついているのをよく見る」などミカン科植物やアゲハチョウ(←私の研究課題)のフィールドでの姿について実際にフィールドを研究の場としている経験豊富な方に教えていただけたり、実り多きものとなりました。

更に、他の研究室の発表では現在進んでいる研究を目の当たりにでき、良い刺激になると同時に自分の世界もさらに広がったように思います。

願うべくはこのような機会をどんどん活用して、知識や議論を深め、自らの研究を進めるにあたっての活力を得ていきたいと思います。
(ポスター:化学生態学分野M1 村田敏拓)

私は今回のシンポジウムにポスター発表を中心として参加しました。ポスター発表では「ナミハダニの空中分散挙動の解析」について発表しました。今回、全く異なった分野の方々に向けて発表することで、ディスカッションタイムではこちらの予想がつかないような質問をされることが多くあり、今回の発表がなかったら気付かなかったであろうことを気付かされました。また、自分の発想力不足を認識できました。同時に、異分野の方に自分の研究をうまく説明することの難しさを実感しました。議論の中で特に有意義だったのは、私の分野とは異なる、昆虫の分野やフィールドの分野の方々からナミハダニの観察方法を中心とした、その方々ならではの様々な貴重な意見をきくことができたことです。私の研究は解析についてはもちろん、ナミハダニの観察方法についての工夫も重要なので、今後の研究がこれまでよりも発展できる可能性が生まれました。その一方、反省すべき点もありました。異分野のポスターについて自分から積極的に質問等をして議論を持ちかけることが少々足りなかったと感じています。次回からは、異分野と交流することで普段はなかなか考えないことを考えて議論し、新たな発想を生むことのできる、このような機会を最大限に活かせるよう努力したいと思います。

最後に、開催場所に関しての所感ですが、フィールドを直接肌で感じながら講演を聴いたり、議論できたりしたことで、普段はなかなか意識できていないマクロな視点を意識することができました。上賀茂試験地で行われたことはシンポジウムを盛り上げるのに非常に貢献したのではないかと思います。
(ポスター:フィールドロボティックスM2 磯部浩子)

第2回昆虫COEフィールド教育プログラム「秋の京都で語り合おうin上賀茂試験地」が2005年9月12日〜14日に行われ、私は2日目に「六脚歩行ロボットに関する基礎研究」というタイトルでポスター発表を行いました。今回の発表では、昆虫の機能・構造・行動等を模倣したロボットを製作するための基礎研究段階である、六つの脚で歩行する「六脚歩行ロボット」を紹介しました。現在は簡単な制御によっての六脚歩行について研究していますが、今後は歩行の自動生成や昆虫を模倣したセンサの搭載などを行い、より「昆虫らしい」ロボットを製作する予定です。また、今シンポジウムではポスター発表の日本語によるプレゼンテーションを行いました。外国人留学生である私は日本語でのプレゼンテーションに少々戸惑いましたが、参加者のみなさんが真剣に聞いてくださったので、緊張しながらも無事に発表を終えることができました。さらに、異分野の研究についてもポスター形式での発表であったことから詳しく知ることができました。普段はあまり知ることのできない昆虫や森林の生態について、図や写真などを目で見ることで興味をひかれ、さらにポスター発表者の方々に丁寧に説明していただいたので、よく理解することができました。

今回のシンポジウムに参加することによって非常に有意義で貴重な体験をすることができ、とても良かったと思います。これからもこのようなプログラムに参加し、異分野の方々との交流を深めることによって、互いの研究をより発展させていきたいと感じました。
(ポスター:フィールドロボティックスD1 姜 東賢)

ポスター発表コアタイム風景
ポスター発表コアタイム風景
「昆虫科学とフィールド研究」がテーマだった今回のポスター発表で、私はニホンジカによる幹・枝折れに関する研究の発表をさせていただきました。

普段はあまり交流がない分野で研究されている方々と情報交換するということで、私の話を聞きにきてくれる人はいるか、逆に私はきちんと他分野の研究を理解できるか、という心配がありました。けれども、ポスター発表者全員が最初に簡単な説明をしたあとディスカッションの時間に移るといった発表形式の工夫や、わかりやすい丁寧な説明をしようという発表者の心がけがあったおかげで、最初の心配は無用となりました。

分野は異なっていても、興味を惹かれる研究がたくさんありました。フィールド研究を行う上で、野外での様々な現象を理解していたほうがよいとわかってはいても、私はつい自分の研究対象以外のものに目が向かなくなってしまいます。今回たくさんの研究の話を聞くことで、身近な生物についてどんな研究がされているかがわかり興味深かったと同時に、もっと視野を広げなければ、と刺激を受けました。

たくさんの方々に自分の研究について聞いていただき、今後研究を進めていく上で参考になるコメントをいただいたことも大きな収穫でした。昆虫や植物を研究している方々はニホンジカに関してどのようなイメージを持っているのか、どのような研究内容に興味があるのか、を知る良い機会となりました。お互いのフィールド調査の様子を話し、野外で行う研究ならではの苦労を共感できたことも嬉しかったです。

異分野の研究者が交流し、互いの視野を広げるという意味で、今回のポスター発表は有意義でした。今後も、様々な分野の研究に関心を持ち、より良い研究を行うように努めたいと思います。
(ポスター:森林生物学分野M1 木村亜樹)

上賀茂試験地は北部キャンパスから40分しか離れていないというのに、広くかつ美しい試験地でした。機会があったらまた行ってみたいと思います。

フィールド科学になじみが無いばかりか、昆虫科学をはじめてからまだ日が浅い私ですが、今回のシンポジウムでは、普段あまり聞くことの無い分野の研究の話を聞くことができて勉強になりました。ポスター発表では、安定同位体分析による食物網への有機物の寄与の推定方法やマツ材線虫病感染時の木部柔組織細胞の変化など、興味深い発表を聞くことができました。この日がポスター発表初体験になったわけですが、研究者と近い距離で話ができる点がいいと思いました。

また、植物の形態や昆虫の行動をコストの大小で説明している研究がいくつかあったのですが、日頃、昆虫の行動を化学物質中心に考えることが多いためか、考え方の違いに軽い驚きを感じました。よく考えてみれば、研究室に分属される前の半年前までは、蝶が卵を産んでいるのをみてもなんとなく眺めていたわけで、今のようにすぐさま「誘引物質は何だろう?」と考えるようになっていることのほうが驚きかもしれません。

炭焼き窯の見学
炭焼き窯の見学
3日目の上賀茂試験地見学では、炭焼きがまを見ながら、炭焼きが里山を荒らさずに管理することに役立ってきたこと、広葉樹と針葉樹の炭の違いについての説明を受けました。1日目にあった懇親会のバーベキューの炭も上賀茂試験地でつくったものを使っているそうです。おいしい肉に舌鼓をうちながら、炭の出来具合を確かめる研究ができたら楽しそうだなあと思います。

この3日間、色々な人に出会い様々な話を聞いて、この半年の研究生活を振り返ると同時に昆虫科学の広さを知るいい機会になりました。本シンポジウムの開催に奔走してくださった方々に感謝したいと思います。
(化学生態学分野B4 網干貴子)

ポスターコアタイムでのディスカッション
ポスターコアタイムでのディスカッション
今回のシンポジウムは昆虫COEフィールド教育プログラムによるものですが、実際には昆虫以外の分野の発表も複数見られました。このような異なる分野間での意見交換のできる場がより一層増えていくことで、広い視野で見た考え方も生まれてくると思います。このシンポジウムでポスター発表をさせていただき、普段あまり交流のない他分野の方々とお話しできたことが非常によかったと思います。また分野の異なる方々に自分の研究を理解してもらうには、どのように説明すればよいのかと考え直す機会にもなりました。

このシンポジウムのポスター発表は初めに発表者による数分間の研究紹介があり、その後ディスカッションタイムが設けられた形式でした。この形式は大人数のポスター発表には向かないものかもしれませんが、いつもなら疎かになりがちな分野の発表を聞くことができ、従来のポスター発表にはない利点があると思います。今回のポスター発表では全ての発表を一通り聞くことができ、より詳しく聞きたい発表もディスカッションタイムで質疑応答ができて大変よかったです。

私は植物生態学の分野で研究をしており、今回は異型異熟の性質を持つナンキンハゼの繁殖について発表をしました。ポスターでの発表は始めてだったのですが、どうすれば見やすくて分かりやすいポスターを作ることができるかと考えることで大変勉強になりました。発表中は至らない点も多数あったかとは思いますが、様々な質問を受けることができ、面白いという意見も聞けたのがうれしかったです。今回のポスター発表を今後の研究に生かして、また機会があればシンポジウムに参加できるように努力したいと思います。
(ポスター:大阪市立大学大学院理学研究科M1千田雅章)

話題提供2(教員による講演)
話題提供2(教員による講演)
今回、「フィールド研究」というテーマで上賀茂の緑に包まれながらシンポジウムを楽しむことができました。まず、企画・準備に関わられたフィールド科学教育研究センターの方々、特に森下さんと高橋さん、そして上賀茂試験地長の中島先生に感謝の意を表します。

 シンポジウムについて、私は「野外における生物の研究」の困難を長い間考えさせられました。野外での生物の動きを科学の目から見るためには、複雑な環境をある判断(可能ならば数値的基準によったもの)を基に実験区に分ける必要がある。しかし、ここではコントロールを取る難しさ、実験の再現性の問題が常につきまとう。特に、長期的な個体群動態をはかるためには、それに加えて手間の問題があるように感じました。まずそれは、私たち院生の一個人が関わるには、あまりに時間がかかりすぎるテーマであり、卒業、もしくは博士号取得までに結論を出せない恐れが大きいということです。また、誰かがあるスパン行ったとしても、同じ対象を継続的に見続ける後継者が多くの場合いないことは、非常に問題であると思います。

 現在、生態学の分野では盛んに中長期的データを取る必要性、特に差し迫る地球温暖化の問題や、外来種の在来生態系に対する撹乱に対処するために言われています。しかし、実際そのような研究が多くあるかと言えば、そうでないように感じます。研究室の一院生では到底取り組めないものなので、研究室単位、もしくはもっと大きなプロジェクトによって行われるべきものでないでしょうか。

ポスターコアタイムでのディスカッション
ポスターコアタイムでのディスカッション
フィールド研究を進める際に感じる困難を立て続けに書きましたが、もちろん私はフィールドにおける研究が好きです。むしろ、好きだからこそ困難に思いを馳せてしまうのかもしれません。今回のシンポジウムで、理学部動物生態学の堀先生によるハンミョウの個体群変動の研究は、上賀茂試験地での「継続」的研究の金字塔と呼べるようなすばらしい研究であると感じました。安定したフィールド、というのは生態学をやるものにとって常に必要となるものであり、上賀茂試験地はそれを提供してくれる素晴らしい場であるということは、強く実感しました。私自信が研究を続けていくことに対しても、非常に勇気づけられました。

 最後になりますが、このようなシンポジウムに参加させて頂くと、植物に焦点をあて研究する人、植物と動物とのインタラクションに主眼をおく人、そしてほ乳類や昆虫を見る人、いろいろな人が近くにいることを感じさせられます。近くにそのような人がいるというのは、もっと気軽に相談に行けるような雰囲気があれば、各々の研究に大きなベネフィットを及ぼすと思います。また、「生物界」を様々な視点から見ている人同士が協力的に一つのテーマに取り組めば、この京都大学でしかできない素晴らしい研究ができるのではという期待を持つことができました。
(ポスター:昆虫生態学分野D1 嘉田修平)

シンポジウム学生実行委員より

標本館の見学
標本館の見学
このようなシンポジウムに実行委員として関わらせていただくのは初めてで、とてもいい経験になりました。いろいろな分野の方が参加してくださるだけに、どんな雰囲気になるのか想像もつかなかったのですが、蓋を開けてみると、目標の一つだった「相互理解」がかなり進むイベントになったと思います。ひとつには、講演者の方々が、異分野との交流を意識しながらわかりやすく話してくださったということが大きかったと思います。僕自身、自分が司会を担当している時でさえ、緊張を忘れるほど引き込まれてお話を聞いていました。単に「聞きなれない話だから新鮮」というだけでなく、新しい視点からの議論が行きかう面白さがあったと思います。それからもうひとつ、参加者の皆さんがとても積極的に楽しもうとしてくださっていたのも本当に嬉しかったです。そのおかげで、講演やポスター発表の議論が有意義なものになったと思います。3日目のフィールド見学会では、案内役であるはずの僕のほうが、知らなかったことをいろいろと教えていただいて勉強になりました。講演者、ポスター発表者、聞き手を問わず、多くの参加者の皆さんが積極的に盛り上げてくださったことが、楽しく有意義なシンポジウムの実現につながったと思っています。

今回は当日のことだけでなく、企画の段階から内容の打ち合わせ、参加者への連絡、要旨集作成など、いろいろな作業に関わらせていただきました。いろいろと至らない点もあったことを、この場を借りて改めておわび申し上げます。けれど、そのような一連の経験を通じて、自分自身少しは成長できたのではないかと思っています。最後に、このような機会を与えていただいたことに深く感謝いたします。本当にありがとうございました。
(森林育成学分野D3 森下和路)

当日の受付
当日の受付
「非常に貴重で有意義な経験をさせていただいた。」これがシンポジウムを終えての最初の感想でした。竹内典之教授、中島皇講師、森下和路君、そして私の計4名が実行委員となり、シンポジウムの開催を目指して動き始めたのは4月の半ば過ぎでした。5月には森下・高橋の両学生が司会を務めることが決まり、実行委員の一員として、また司会という責任のある大役を務めるということで一層身の引き締まる思いがしました。講演やポスター発表の開催趣旨、発表順、広報、進行などの事前準備と構成に、学生としてではありますが、大なり小なり携わらせていただいたことで、今までに経験したことのない裏方の苦労を知り、漫然と参加するだけであったこれまでのシンポジウムとは違ったやりがいを感じつつ取り組んでゆきました。シンポジウム直前には、担当の講演者の方のプロフィールを確認し、紹介文の作成、質疑の進め方などの事前準備を進め、司会の原稿を完成させました。当日には参加者の皆さんの集合が遅れ、試験地へのアクセスについてのアナウンスが足りなかったかと反省しつつ、シンポジウムの開催アナウンスとなりました。司会として心がけねばならないことは、第一に適度な速度ではっきりとアナウンスをすることであろうと考えていました。また、講演者の皆様と直前に打ち合わせをさせていただき、できるだけ原稿にとらわれない司会をするということと、もし質疑で全く何もなかった場合、司会者から質問をということを心がけました。いずれにしても、最初の開催アナウンスがうまくいくかどうかがシンポジウムの雰囲気とその後を左右すると考え、最も緊張した瞬間でした。

基調講演では、非常に著名な日高敏隆先生の御講演ということもあり緊張しましたが、日高先生のお人柄に助けられ、司会進行および質疑を終えることができました。日高先生が強調された「ナチュラルヒストリー的研究(フィールド科学)は、研究の入り口ではなく、それ自体が立派な科学である」というお言葉に、日頃から感じていたフィールド研究の難しさと論文としてまとめる際の難しさに対する答えをいただいたような気がして、大変感銘を受けました。日高先生の御講演では、緊張のせいか学生からの質問がなく、若干残念ではありました。

話題提供1は、私より少し先輩の若手研究者の皆さんからの御講演でした。司会者としては、時間内に講演を終えて頂きたいという思いと、せっかくの機会だから質疑を多く受け付けたいという思いが交錯し、あらためて司会の難しさを実感することとなりました。また、最後に総合討論の時間を設けましたが、講演者の皆さんの分野が多岐にわたっており、それぞれの方へのご質問と、上賀茂試験地を利用して研究を進められたときの利点・欠点をお伺いするのが精一杯でした。総合討論については、事前にテーマを決め、それに沿って討論して頂くという形式もあり、その点については事前の準備不足であったかと後で反省しました。

懇親会については、上賀茂試験地職員の皆様の全面的なご協力があり、大変盛大なものになりました。野外パーティという気楽な雰囲気と、旬の食材を利用した豊富なメニューを囲んで、分野を越えた学生および先生方が集い、まさに異分野間の交流・融合ができた懇親会でした。

講演者による現地解説
講演者による現地解説
二日目の現地見学会の出席者は非常に少なかったものの、話題提供1の講演者の皆さんにフィールドをご案内いただき、研究の概要やご苦労について改めてお伺いすることができ、有意義な時を過ごすことができました。

話題提供2については、森下君が司会を担当し、私は御講演を拝聴しました。御講演の中では、学生を指導する先生としての豊富な経験や研究者としての鋭い視線が感じられ、話題提供1とはまた違った有意義な時間を過ごすことができました。御講演の中で強調された、フィールドの安定性とデータの蓄積および異分野の研究者の協力による共同研究が重要であるという言葉が非常に印象に残りました。

ポスターコアタイムでのディスカッション
ポスターコアタイムでのディスカッション
ポスター発表については、異分野間の融合をいかに図るかということを主眼に、5分間のプレゼンテーションとその後にディスカッションタイムを設けるという形式をとることにしました。このような形式のポスター発表を以前経験していたこともあり、その良さを取り入れたいと思ったのですが、発表時間がかなり長い方もあり、改めて司会進行の難しさを感じました。しかし、ポスター発表参加者の皆様には、その趣旨を理解してご協力いただき、異分野間の融合をはかる場として活発な質疑を繰り広げていただくことができました。ポスター発表には、学外およびCOE関連分野以外の方にもご参加いただき、ポスターコンクール、トラベルアワーズなどの表彰式も盛大に盛り上がりました。

シンポジウム終了後、司会を担当した皆様にご挨拶とお礼のメールを差し上げたところ、講演者の皆様から、慰労のお言葉と司会進行に関しての率直なご意見、シンポジウム全体に対してのご感想をいただきました。全体を振り返ってみると、細かい点については多々不備がありましたが、参加者の皆さんのご協力によって、盛大かつ成功裡にシンポジウムを終えることができたと思います。異分野間の融合、フィールド研究とラボ研究の融合、昆虫科学とフィールド科学の融合、研究のための教育といった盛りだくさんの内容を詰め込んでのシンポジウムでしたが、非常に有意義な時間を多くの分野の皆さんと共有できたことは、貴重な体験であったと思います。また、教育・研究者として今後活躍したいと望んでいる私にとって、シンポジウム主催者の苦労を体感できたことは、今後非常に役に立つことであると確信しております。そういう意味でも、本シンポジウムの教育プログラムとしての意義は十分に達成されたのではなかろうかと思います。
(森林情報学分野D3 高橋絵里奈)

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発行元:昆虫COE 事務局
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京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻化学生態学分野(TEL 075-753-6307)

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